ソール・ライター回顧展が渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでやってましたね。
目を引くポスターだったので気になった人も多いハズ。
残念ながら行くチャンスを逃してしまい、悔しい思いをしていたところ
本屋でこちらの本を見つけました。
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写真がとてもカッコイイ。
画面の中に気持ち良い間があって絵画的なんです。
と、思っていたら、彼は画家でもあったとのこと。
巻末を読んでみると、マティスやセザンヌ、ボナールなどの画家や、
俵屋宗達、葛飾北斎、浮世絵などのジャポニスムからも影響を受けていたよう。
名言
写真や絵だけでなく、言葉からも多くのことを学ぶことができます。
とても共感出来る言葉がたくさんありましたが、
3つだけピックアップします。
ラボのアシスタントが「もう、傘は沢山!」とソール・ライターに言ったとき、
彼の答えは一言「私は傘が大好きなんだ!」。
確かに、傘の写真が多いように思います。
黒い傘の中で、ポツンと赤い傘・・・なんて絵になりますね。
この言葉から学べることは、
とにかく好きなものはとことん追うことなんじゃないかと思います。
「またあの絵描いてる」
「たまには違う絵描いてみたら?」
なんて言葉が降りかかってきたら、こう言いましょう。
「私は傘が大好きなんだ!」
もう、これ合言葉にしてもいいかもしれない。
自分が今なにを見ているか確かでない時が好きだ。
何故、私たちがそれを見つめているかが分からず、
ふいに見えはじめた何かを発見する。
この混乱が好きなのだ。
言葉にするのが難しい複雑な感情を言葉にしたのが詩人であり、
知覚できない美を現すのが画家の本分であると私は思っていて、
このよくわからないが惹きつけられるものを何かしらで表現することが芸術家たるものなのだなと感じた。
私は無視されることに自分の人生を費やした。
それで、いつもとても幸福だった。
無視されることは偉大な特権である。
この言葉はわたしを大いに勇気付けてくれた。
景色に溶け込み、一体とならなければ撮れない写真があるのかもしれない。
石ころ帽子をかぶったかのように周りの世界だけが動き、
静かな傍観者となってその瞬間を記録する。
誰に褒められるとか認められるとか評価されるとかではなく。
ただただ、今、ここに在るという感覚。
静かに、満たされるこの気持ちは特権といって良いものなのだということがわかった。
おわり
ソール・ライターが世界にデビューしたのは83歳の時らしい。
いわゆる成功というものから遠ざかり、静かに作品を作り続けた。
彼の作品と言葉からは、きっとまだ日の目を見ない創作者にも勇気とヒントを与えてくれるに違いない。
眺めているだけでもおしゃれな気持ちにさせてくれる。
手元に置いておきたい本の一つになりました。
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