油絵の具やアクリル絵の具で使った筆。
気づいたら穂先が固まっていませんか?
「洗ったつもり」でも、根元に残った絵の具が堆積すると
徐々に毛先が開き、最終的にはかなり使いづらくなってしまいます。
今回は、固った絵筆を元のサラサラの状態に戻す方法を解説します。
実際に油絵具でカチカチに固った豚毛の筆で検証しました。

筆が固まる原因
- 穂先の根元に残った絵の具の堆積
- 洗浄不足
- 使用後、未洗浄での放置
特に根元の残留絵具は要注意。
洗ったつもりでもなかなか全部は落ちにくく、
見えない部分で絵具残りが溜まってしまっています。
用意するもの

- 絵具剥離剤(ストリッパー/エコリムーバーなど)
- ブラシコーム
- ウェスやボロ布
- ラップまたはアルミホイル
- プラ/陶器製の溶き皿などの受け皿
- ゴムまたはビニール手袋
※剥離剤は強力な薬剤です。必ず換気をし、皮膚に触れないよう注意してください。
固まった筆の復活手順
①筆の穂先に剥離剤を馴染ませ、ラップで包んで放置
溶き皿に剥離剤のストリッパーを出して、筆にしっかり馴染ませます。

馴染んだらラップで包み、軽度なら30分程放置します。

頑固な固着は半日〜1日放置すると効果的。
⚠︎ 皮膚に付くとヒリヒリします。
危険なので必ず手袋や長袖を着るなど服装に注意してください。
②溶けた絵の具を拭き取り、掻き出す。
溶け出した絵の具をウェスで拭き取ります。

その後、ブラシコームで根元の絵の具を優しく掻き出します。
※溶けてない状態で無理に引っ掻くと毛を傷めます。

十分に拭い取れない場合は①②を何度か繰り返します。
絵具を掻き出すのに使用したこのブラシコーム、ステンレス製で作りがしっかりしているのでガシガシ使えます。
筆のメンテナンス用におすすめです。
③水で洗い、吊るして乾燥
十分に絵の具が取れたら、水でよく洗い流します。

穂先を整え、吊るして自然乾燥。

穂先を上にして乾かすと、水分が根元に溜まり、接着部を傷めてしまいます。
洗ってすぐ筆立てに入れたりと、つい知らずにやってしまいがちですが、吊るすことで3倍は長持ちすると言われています。
クリップで挟んでカーテンレールにS字フックで引っ掛けています。
ビフォーアフター
さあ、どれだけ綺麗になったのか見てみましょう。
こうなりました。


なんということでしょう。(劇的ビフォーアフター)
カチカチに固まってひとつの塊になっていた穂先がほぐれ、
実用レベルまで復活しました。
完全に新品同様とはいきませんが、捨てる前に試す価値は十分あります。
カチカチだった筆はサラサラ、
ベタベタだった軸はピカピカ。
洗う前と比べてみるとこんな感じ。

やってはいけないNGメンテナンス
固った筆を見ると、つい力任せにほぐしたくなりますが、これは逆効果です。
特に注意したいのが次の3つです。
×熱湯をかけて無理に柔らかくする
接着部分の糊が劣化し、穂先が取れやすくなります。
×溶けてない状態で強く掻き出す
絵の具が固いままブラシコームで引っ掻くと毛が折れたり避けたり抜けたりします。グリグリと押しつけるのも傷めるので注意してください。
×穂先を上にして乾燥させる
水分が根元に溜まり、内部の接着剤が傷みます。結果的に毛抜けの原因になります。
焦らず、「溶かしてから取り除く」が鉄則です。
筆を長持ちさせる予防策
- 使用後はすぐに拭き取り
- 根元までしっかり洗う
- 石鹸で仕上げ洗い
- 必ず吊るして乾燥させる
「少し開いてきたかな?」という段階でメンテナンスすればここまで固まることは防げます。
油絵筆とアクリル筆の固まり方の違い
同じ”カチカチ”でも固まる仕組みは異なります。
油絵筆は空気に触れて酸化し、ゆっくり硬化します。そのため、時間が経っても溶剤で再び柔らかくなる可能性があります。
対してアクリル絵具は樹脂が乾燥硬化するため、完全に固まると再生が難しい場合があります。特にナイロン筆は内部まで固まると復活率が下がります。
アクリルはスピード勝負、
油絵は蓄積ダメージという違いがあります。
復活できる筆・できない筆の見極め
すべての筆が元通りになるわけではありません。
復活が難しいケースは、
- 根元の接着が外れている
- 毛が裂けていて短くなっている
- 口金が錆びている
この状態まで進行している場合は、無理に再生せず買い換えた方が安全です。
ただし、穂先が一体化している程度なら意外と復活します。
「捨てる前に試す」
「別の使い方を考える」
これだけでも筆の寿命は大きく変わるはずです。
まとめ
- 固まった筆は復活可能
- 剥離剤は安全対策
- 根元の洗浄が重要
- 吊るして乾燥で筆の寿命が伸びる
剥離剤が手に当たってしまいヒリヒリしましたが、
無事にカチカチ筆をサラサラ筆に復活させることができました。
筆は消耗品ですが、
正しく手入れをすれば何倍も長持ちします。
新しい筆を買う前に、
一度”筆の再生”に挑戦してみてください。
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