油絵具の混色制限|シルバーホワイトに混ぜてはいけない色はある?

油絵具には「混色制限」と呼ばれる、組み合わせに注意が必要な顔料があります。

特に、シルバーホワイト(鉛白)に混ぜてはいけない色はあるのか?という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

この記事では、

  • 鉛白と硫黄系顔料の関係
  • ブリード現象とは何か
  • ジンクホワイト(PW4)のトラブル

について、できるだけ分かりやすく解説します。

目次

混色制限① 鉛白(シルバーホワイト)×硫黄系顔料

シルバーホワイトの主成分は鉛白

シルバーホワイトには「鉛白(Lead White)」が含まれています。

一方で、以下の絵具には硫黄を含む顔料が使われています。

  • ウルトラマリン
  • バーミリオン など

なぜ混ぜると危険と言われるのか?

鉛白と硫黄が反応すると、理論上は「硫化鉛」が生成され、黒変(黒ずみ)する可能性があると言われています。

そのため、昔から

鉛白と硫黄系は混ぜない方がよい

とされてきました。

現代の絵具ではどうなのか?

絵具メーカー「クサカベ」の見解では、

現代の精製された顔料では、実験上ほとんど変色は起こらない

とされています。

一方で、別のメーカー「ホルベイン」に問い合わせたところ、

組成上は変色の可能性があるため、混色制限は存在する

との回答。

結論

  • 現代の絵具では大きな問題は起きにくい
  • ただし理論上は反応の可能性がある

長期保存を考えるなら、鉛白と硫黄系顔料の混色は避けるのが無難です。

混色制限② ブリード現象とは?

ブリード現象とは何か

レーキ顔料の上に白などを重ねると、下の色がにじみ出ることがあります。

これを「ブリード現象」といいます。

なぜ起きるのか?

レーキ顔料とは、

無色の顔料に染料を着色したもの

染料成分が油中で移動し、上層に染み出してしまうのです。

レーキ顔料の特徴

  • 発色が鮮やか
  • 彩度が高い
  • ただし下地には不向き

仕上げやグレーズには向いていますが、下層に使う場合は注意が必要です。

混色制限③ 亜鉛華(ジンクホワイト)のトラブル

PW4とは?

ジンクホワイトの顔料は「亜鉛華(酸化亜鉛)」。

顔料番号は

PW4(Pigment White 4)

と表示されています。

これは「C.I.Name(Color Index Name)」という万国共通の顔料記号です。

ラベルやカタログで確認できます。

なぜ問題が起こるのか?

亜鉛華は乾燥過程で「金属せっけん」を生成します。

その結果、

  • 塗膜の固着が弱まる
  • 亀裂
  • ひび割れ
  • 剥離

などが発生する可能性があります。

特に重ね塗りでは注意が必要です。

注意すべき表示

以下の表示があれば亜鉛華を含みます。

  • PW4
  • 亜鉛華
  • 酸化亜鉛
  • Zinc Oxide

ジンクホワイトの上に厚塗りするのは避けた方が安全です。

まとめ|油絵具は顔料を理解して使おう

油絵具は、顔料の組成と相性を理解することで作品の寿命が大きく変わります。

完成直後は美しくても、

  • 黒ずむ
  • ひび割れる
  • 剥がれる

では意味がありません。

絵具のラベルを確認し、C.I.Nameを調べる習慣をつけるだけで、トラブルはかなり防げます。

作品を長く残すために、素材の知識を身につけていきたいですね。

今後も学んだことはシェアしていきます。

編集:ホルベイン工業技術部
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