絵を描いた後、作品の画面を保護していますか?
画面を保護しておかないと思わぬ変化を起こしてしまう恐れがあります。
例えば、紙に描かれた木炭デッサンなどは木炭自体に定着するための糊が入っておらず、少し擦っただけで木炭の粉が動いてしまいます。そうなってしまうとせっかく完成させたデッサンも台無しです。他にも水彩画や版画はカビが発生したり、色が褪せてイメージがガラリと変わってしまうことがあります。
それらを防ぐための画面の保護・定着液”フィキサチーフ“を使用画材別に紹介していきます。
フィキサチーフとは
フィキサチーフ(英 Fixative)は、絵画用の定着液。 鉛筆や木炭、パステルなど主に粉状の画材で描画した線をコーティングし、かすれるのを防ぐ効果がある。 合成樹脂をエタノールまたは石油系の溶媒に溶いたもので、一般に鉛筆・木炭にはエタノール、パステルには石油系が適する。
定着剤のフィキサチーフだけでなく、コーティングの役目をしてくれるバーニッシュ(ワニス)と呼ばれるものも一緒に紹介していきます。
作品の大敵は?
絵の大敵はたくさんあります。
- ホコリ
- 光
- 湿気
- 寒暖差
- 引っ掻き
- 衝撃
などから画面をある程度守ってくれるのがフィキサチーフやバーニッシュ(ワニス)なのです。
使用前の注意点
それぞれ注意書きがあるかと思いますのでよくお読みになってからご使用になってくださいね。
画面との距離や角度のこと。また、溶剤を使ってるので換気することやマスクなども注意書きにしたがって行ってください。
そして、いきなり本番に使うのではなく、まず別のものでテストすること。
色味や雰囲気が若干変わったりするのでその辺りの感覚も確かめてみてくださいね。
鉛筆・木炭
紙に鉛筆や木炭で描かれた作品を保護する合成樹脂をエチルアルコールで溶解した定着液です。紙に浸透して定着させるタイプです。
水彩
水彩画を保護するワニスです。こちらは防カビ効果があります。
UVカットのフィキサチーフです。ツヤありとつや消しがあります。こちらはグロスバーニッシュでツヤありタイプです。
写真やポスターを光に晒していると色が褪せてきますよね。その褪色の経過を緩やかに抑えてくれるスプレーです。
こちらはつや消しのマットバーニッシュです。
油彩
油絵はタブローというワニスをかけます。作品が完全に乾くまで半年くらい経ってからかけます。ツヤが出ます。
アクリル
こちらにもツヤありとつや消しがあります。
クレヨン・油性色鉛筆
クレヨン用の保護液でマットな仕上がりです。加筆も可能。
クレヨンだけでなく、油性色鉛筆にも。
パステル
パステル用のフィキサチーフです。表面にアクリル樹脂の膜を作ります。加筆ができますので描いている途中でもちょくちょくかけて画面を強くしていきましょう。
クレパス
クレパスにも専用の定着剤と保護剤があります。
定着剤がクレパステクニカルコート。描画中に適宜噴きかけることで重色しやすくなります。
対してフィニッシュコートは仕上げ剤です。完成した作品にはこちらをかけましょう。
書
書の作品の滲み止めのスプレーです。
裏打ち前に水をかける時の滲み止めとして使えます。
あとがき
パステルで描く人にとってはパステルフィキサチーフはめっちゃ便利です。
仕上げにかけるだけでなく途中で吹き付けることで重ね描きがしやすくなりますし、画面の強度も出てきます。あるのとないのでは作品の完成度にも関わってきます。
せっかく描いた作品はできるだけ長持ちさせたいですよね。「たいした作品じゃないからそこまでしなくていい」と謙遜される方がいらっしゃいますが、時間が経って改めて自分の作品を見ると「なかなかよく描けてるじゃん」って思ったりしませんか?
それに、その作品は誰かにとって大事な宝物になるかもしれません。絵は永く残せるものなのでできるだけ大切にしたいですね。