「白って200色以上あんねん。」
これはアンミカさんの有名な言葉です。
一見すると同じに見える「白」。
けれど実は、油絵具の世界でも白は一色ではありません。
現在流通している油絵具の白は、大きく分けて5タイプあります。
- チタニウムホワイト(酸化チタン)
- ジンクホワイト(酸化亜鉛)
- シルバーホワイト(鉛白)
- パーマネントホワイト(酸化チタン+体質顔料など)
- セラミックホワイト(チタン酸ストロンチウム)
それぞれ性質が違います。
今回は、白の絵の具選びで困ることがないように、特徴と使い分け方を分かりやすくまとめてみました。
参考になれば嬉しいです。
油絵の白はどんな種類があるのか?
油絵具の白は、原料となる顔料の違いによって性質が大きく異なります。
隠蔽力、乾燥速度、強度、混色の美しさなどがそれぞれ異なるため、作品の仕上がりにも影響してきます。
チタニウムホワイトの特徴
下塗りから仕上げまで使える標準的なホワイトです。
顔料は酸化チタン。顔料番号はPW6
特徴と用途
- 隠蔽力が非常に強く、背景を隠すのに最適
- 発色が明るく、ハイライトなどに使いやすい
- 乾燥はジンクホワイトなどに比べやや遅め
- 混色するとやや濁りやすい
最も隠蔽力が強いと言われており、厚塗りやハイライト表現に向いています。ただし、混ぜすぎると色が一気に白っぽくなるため、繊細なグラデーションには注意が必要です。金属の光の反射部分やガラスの艶など、下の色を隠したい時に使用するのがおすすめです。
ジンクホワイトの特徴
青みのある白で透明感があります。混色時の発色が美しい。
顔料は酸化亜鉛。原料番号はPW4。
特徴と用途
- 隠蔽力は弱い
- 透明感がある
- 比較的乾燥は早め
- 割れやすい性質がある
上塗りのグレーズや微妙な色調整の混色に向いています。ただし、厚塗りすると塗膜が脆くなる可能性があります。色の組み合わせ方などで金属石鹸を形成する恐れがあるため、最終的な仕上げで使用することが推奨されています。例えば乳白色の陶器や釉薬の表現などに使えます。
シルバーホワイトの特徴
中世から古典絵画で多く使われてきた伝統的な白です。
顔料は炭酸鉛。原料番号はPW1。
特徴と用途
- 乾燥が早く堅牢な画面ができる
- 柔軟性がある
- 混色が美しい
- 毒性があるため注意が必要
混色時に濁りにくく、温かみのある自然な色味を作りやすいのが魅力です。下塗りから中描き、厚塗りに適しており、マチエールを活かした表現に向いています。ただし、毒性があるため安全面の配慮が必要です。
また、シルバーホワイトは組成上、混色制限があります。下記の記事を参考にしてみてください。
▶︎油絵具の混色制限|シルバーホワイトに混ぜてはいけない色はある?
パーマネントホワイトの特徴
「Permanent(永続的な)」という名前は、
“変色しにくい”という意味の商業名です。
パーマネントホワイトはチタン酸に体質顔料などを加えて調整し、チタニウムホワイトの強さを抑えて扱いやすくした白です。
- チタンほど強くない
- ジンクほど弱くない
- 中間的な隠ぺい力
- やや扱いやすい塗膜
という「バランス型」。
「ジンクは割れが心配、でもチタンは強すぎる」
そんなときの“間”を取る白です。
とにかく迷ったらパーマネントホワイトを使っておけば大丈夫です。
セラミックホワイトの特徴
近年にホルベインが開発した黄ばみが少なく混色もしやすい、白が際立つホワイトです。
原料はチタン酸ストロンチウム。
- 青みがあり際立つ白
- 黄ばみが少なく混色時も濁りにくい
- やや隠蔽力がある
- 耐久性のある画面
ジンクより安定しており混色用、上塗りなど万能に使えるホワイトです。
顔料番号・成分比較表
| 名称 | 主な顔料番号 | 主成分 | 隠ぺい力 | 乾燥 | 塗膜の性質 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| チタニウムホワイト | PW6 | 酸化チタン | 非常に強い | 比較的早い | 硬め | |
| ジンクホワイト | PW4 | 酸化亜鉛 | 弱い | やや遅い | 硬く割れやすい | 透明感※混色制限 |
| シルバーホワイト | PW1 | 塩基性炭酸鉛 | 中程度 | 早い | 柔軟で強い | 伝統的白 ※毒性・混色制限 |
| パーマネントホワイト | PW6またはPW6+PW4 | チタン系または混合 | 中〜強 | 中程度 | 比較的安定 | 商業名称 コスパ・バランス |
| セラミックホワイト | PW37 | チタン酸ストロンチウム | 強い | 中程度 | 安定して強固 | 万能・混色○ |
使い分けの目安
- 下地を隠す ・ハイライト → チタニウムホワイト
- 透明感を活かす・グレーズ → ジンクホワイト
- 下塗りから中描きしやすさ → シルバーホワイト
- バランス・コスパ重視 → パーマネントホワイト
- 万能・混色にもこだわり → セラミックホワイト
初心者はどの白を選ぶべき?
まずはパーマネントホワイト1本あればOKです。
油絵の絵具セットにもパーマネントホワイトが入っていることが多いです。
用途に合わせて足していくのが良いと思います。
ハイライトをより強くしたい、下の色を隠したいと思えばチタニウムホワイト、
透け感のある白さをグレーズしたいと思えば少量のジンクホワイト、
下塗り用のシルバーホワイトは大量に使うので大きめのサイズがおすすめ。
さらに、混色をより綺麗にしたければセラミックホワイトを使うなど、
それぞれの特性を用途に合わせて絵作りに活かしていくのがおすすめです。
まとめ
「白は200色以上ある」と言われるように、
油絵具の白も性質はさまざま。
白は単なる「明るくする色」ではなく、絵の質感を決める重要な要素です。
どんな白か、それぞれの違いを理解し、目的に合わせて選ぶことで、作品は確実に変わります。
何気なく使っていた“白”。
一度、成分と性質から見直してみると、
作品の質がまた一段上がるかもしれません。
参考になりましたら嬉しいです。
