油絵の具には混色制限と云われる、混ぜてはいけない色の組み合わせがあるらしいとの話を耳に挟んだので調べてみました。いくつか組み合わせに制限があるようなので共有します。参考にしてみてください。
混色制限①鉛白VS硫黄系顔料
シルバーホワイトの組成は鉛白を含みます。
ウルトラマリンやバーミリオンの組成は硫黄を含みます。
この鉛白と硫黄を混ぜると遊離硫黄によって鉛白を黒変させると言われています。
うまく結合してくれないらしいのです。
鉛白を含む絵の具 | シルバーホワイト、ファンデーションホワイトなど |
硫黄を含む絵の具 | ウルトラマリン、バーミリオンなど |
しかし、
絵具メーカーであるクサカベさんのサイトを拝見していたら、このような文が・・・
これらの絵具の混合実験をしてみると、実際には変色はおこらないのです。現代のよく精製された顔料は、そんなに簡単に反応するほど不安定ではありません。
〜中略〜
昔の顔料は、不安定な物質を含んでいたため、変色することもあったのでしょうが、現代ではその心配はほとんどないようです。混色は自由におこなってよいでしょう。
参照:絵の具メーカー クサカベ
混ぜていいんかい!!
現代では混ぜていいそうです。
が、しかし同じく絵具メーカーのホルベインさんに問い合わせたところ、やはり混色制限はあるそうです。
どっち!?
そこまで大きな変化はないのかもしれませんが、組成上変色がある組み合わせなのは確かなようなので避けたほうが無難みたいですね。
ということで鉛白と硫黄系は混ぜない方がいいよ。
②ブリード現象について
レーキ顔料の上に白などを塗ると、下の色が染み出してしまいます。
この現象をブリード現象といいます。
なぜこのようなことが起きるかというと、
レーキというのは色の付いていない顔料を染料で着色したもの。
この染料の色素が絵具の中で動いてしまうのです。
下地には向かない絵の具ですが、彩度が高く、発色がとても綺麗なので仕上げなどに使うことをオススメします。
とはいえ、そのブリード効果を利用して絵を描くのも面白いかもしれませんね!(知らんけど)
レーキはにじむよ!気をつけて。
③亜鉛華によるトラブル
ジンクホワイトの顔料である『亜鉛華』は乾性油が酸素と反応して酸化重合する過程で金属せっけんを生成する。この塗膜が絵の具同士の固着を阻害してしまい、亀裂、ひび割れ、剥離の原因となってしまうらしい。
亜鉛華を含む絵の具に注意しよう!
ラベルに以下のような表示があれば亜鉛華を含んでいますので要注意。
- PW4
- 亜鉛華
- 酸化亜鉛
- Zink Oxide
ジョーンブリヤンなどの絵の具に使用しているメーカーもあり、顔を描いていたらパックのように剥がれてしまった。との話も聞いたことがあります。(ジョーンブリヤンは肌の色に近い薄橙色)
このPW4(Pigment White 4)というのはColor index name(以下C.I.Name)といい、万国共通の顔料記号です。
C.I.Nameはカタログやラベルに記載されています。これを調べることでその絵具の顔料を知ることができます。
ジンクホワイトの上に絵の具を被せない方がいいかも!
まとめ
絵具の素材や組成、組み合わせを正しく把握・理解し、使用することで絵が長持ちするかどうかが決まります。できた瞬間は最高の出来でも時間が経つにつれ黒ずんだり剥がれたりしては元も子もありません。
絵の具の知識を正しく身につけていきたいです。
今後も勉強できたことはシェアしていきますね。
ではこの辺で。